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居住地域の生物の多様性が高いとメンタルヘルスが良好に?

さまざまな種類の鳥や植物が見られる、生物多様性が高い地域に住んでいる人々は、生物多様性が低い地域に住んでいる人々と比べてメンタルヘルスの状態が良いとする研究結果を、ヘルムート・シュミット大学(ドイツ)のJoel Methorst氏らが報告した。研究グループは、「この結果は、自然保護が人々にとっていかに利となるかを示す新たな例だ」と説明している。研究結果は、「Landscape and Urban Planning」に3月25日発表された。

Methorst氏らは、ドイツの約1万5,000世帯の約3万人から収集された、メンタルヘルスと健康状態に関するデータと、人々の居住地域の生物多様性に関するデータを用いて、それらの関連を分析した。生物多様性に関しては、鳥と植物の多様性と鳥の生息数を指標として評価した。

その結果、居住地域の鳥や植物の多様性とメンタルヘルスとの間には正の相関が認められ、多様性が高い地域に住んでいる人ほど、メンタルヘルスは良好であることが明らかになった。しかし、このような多様性の高さは、身体的健康には関連していなかった。また、人々のメンタルヘルスには、近隣に公園や緑地があるかどうかとも関連しており、自宅からそうした場所までの距離が近い人ほど、メンタルヘルスも良好であることも判明した。

その一方で、Methorst氏らの予測に反し、鳥の生息数の多さはメンタルヘルス向上に関係しない可能性も示された。この点について同氏は、「生息数の多いハトやカモメ、カラスなどの鳥類を好まない人は多い。そのことが、この結果の背景にあるのではないか」と推測している。

また、鳥や植物の多様性と身体的健康との間に有意な関連が認められなかったことについてMethorst氏らは、「両者はより間接的な関係にあるのではないか」との考えを示している。例えば、鳥たちが多く生息する植生の豊かな屋外で活動を楽しむことは、人々の健康に有益な効果をもたらす可能性があるという。

研究論文の上席著者で、クリスティアン・アルブレヒト大学キール(ドイツ)環境・エネルギー経済学教授のKatrin Rehdanz氏は、「今回のわれわれの研究では、自然保護を、人々のメンタルヘルスやウェルビーイング(精神的・身体的・社会的に良好な状態にあること)を増進させる方策の一つとして捉えることができる可能性が示された。この知見は、特に都市計画や緑地管理において意義のあるものだといえる。生物多様性の改善に向けた投資は、都市部に住む人々の健康増進につながる可能性がある」と述べている。(HealthDay News 2021年4月7日)

https://consumer.healthday.com/b-4-2-more-biodiver...

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